この次な−に

 
(ミ−太登場)
  89年 こねこはどうやって鳴くのを覚えたか
  90年 早のみこみのねこ
  91年 大きな靴
  とつづけてまいりました このミ−太人形劇場も今回で4回め
  今回の題名はこの次な−にです。さて、どんなお話が始まりますか、おたのしみに。
ミ−太   あ−寒い寒い。さすがに冬だな。しっぽの先までこおっちゃいそうだ。
      さて、きょうはどのうちをのぞいてみようかな。(舞台を去る。)
 (舞台に家、家の中におじいさんがいて手紙を読んでいる。)
おじいさん 今年の春にむすこが出ていってから、もう何回この手紙をよんだかな。
      どこにいるんだか知らないがこの寒さの中、ふるえたりはしてないだろうな。
      手紙に行き先ぐらい書いていけばよいものを。
   手紙(ナレ−ション)
      とうちゃん、ごめん。
      おいら、都会に行ってきます。
      しっかり稼いで帰ってくるから楽しみにしていてください。
おじいさん (ため息)ふ−
      早くかえってきてくれないかなぁ−
ミ−太   ふ−ん このおじいさんはひとりぐらしなんだ。
      よ−し、今日はこの家でごはんをいただくとするか。
      最近化けかたを覚えたんだよ。
      いくぞ−。ゴジラに変身。
 (戸の前に立ち、おじいさんに背を向けて戸をトントンとたたく。)
おじいさん だれだね。
 (すかさずガオ−とミ−太が踊りかかる。)
ゴジミ−太 ガ−オ、ガ−オ。
      なにかくいものを出せ。でないとおまえを食っちゃうぞ。
おじいさん ひぇ− お助けを。
      今すぐ何か持ってきます。
ゴジミ−太 できれば、魚がいいな。
おじいさん 魚ですか。ゴジラも魚が好きなんですか。
ゴジミ−太 うるさい。つべこべ言わずに持ってこい。
 (おじいさん、魚を持って出てくる。)
ゴジミ−太 お−、よしよし。パクリ、モグモグ。ああ−おいしい。
      どうも、ごちそうさまでした。さようなら。
おじいさん 食べたら、きゅうに礼儀正しくなったな。
      変なゴジラだ。

 ナレーション 次の日です。
ミ−太   きのうはうまくいったな。よしきょうもおじいさんのうちで
      ごちそうになるとしよう。
      いくぞ−。きょうりゅうに変身。
 (1度めと同じパタ−ン、戸をたたく。)
おじいさん はいはい。
      ひぇ−−−−

恐竜ミ−太 ガ−オ、ガ−オ
      なにかくいものを出せ。でなけりゃおまえを頭からガブルとくっちまうぞ。
おじいさん お、おたすけを、今すぐにもってきます。
恐竜ミ−太 できれば、きょうも魚がいいな。
おじいさん きょうも魚って。
恐竜ミ−太 あっ、しまった。うるさい。つべこべ言うな。
 (おじいさん、魚をもって出てくる。)
恐竜ミ−太 お−よしよし。パクリ、モグモグ、ああおいしい。
      どうも、ごちそうさま。それじゃ、さようなら。
おじいさん どうもおかしいな。ちょっと、あとをついていってみるか。
 (ミ−太がもとの姿に戻るところを見る。)
おじいさん なんだ。ねこだったのか。どうりでおかしいと思ったよ。

 ナレーション また次の日です。
ミ−太   毎日毎日じゃ、申し訳ないけど、きょうもあのおじいさんのところでごちそうになろう。
      きょうはなんに化けよう。きのうはずいぶんこわがらせっちゃったからな。
      よし、きょうはこれでいこう。
 (客席に後姿をみせてミッキ−登場。)
ミッキ−太 ぼく、何だ。そう、ミッキ−マウスだよ。
 (ミッキ−太、戸をたたく。)
おじいさん はいはい。
ミッキ−太 わぁ−お
おじいさん おや。おおきなねずみさんか。あんまりこわくないね。
ミッキ−太 うるさい。こわがらないと、カリカリかじっちゃうぞ。
おじいさん(おおげさに)ひぇ−こわいよう−。
ミッキ−太 よしよし。それじゃ、かじらないから、何か食い物を出せ。
おじいさん できれば魚がいいですか。
ミッキ−太 そう。できれば魚がいい。
      (つぶやくように)ちょっとおかしいな。
(おじいさん、魚をたくさんかかえて出てくる。)
おじいさん どうぞ、どうぞおなかいっぱい食べてください。
ミッキ−太 お−よしよし。パクリ、モグモグ。あぁ−おいしい。
      パクリ、モグモグ パクリ、モグモグ おいしい。
      いやぁ−ほんとうにごちそうっさまでした。

おじいさん さようなら。げんきでな。

 ナレーション 次の日です。
ミ−太   きのうはずいぶんごちそうだったな。
      でも、おじいさんはほんとうにやさしかったな。
      いつも化けてだましてばかりじゃ申しわけないな。
      きょうはこのままの姿で行って、いままでのおわびをしよう。
      そしたら、もっと魚をくれるかもしれないな。
      おじいさん、おじいさん
      あれ、返事がないな。
      おじいさん。  返事がなくても入りますよ。
 (はいって、きょろきょろするがだれもいない。)
      あれ留守みたいだ。手紙があるぞ。ねこくんへって書いてある。
      
ねこくんへ。むすこが迎えに来てくれました。
      いっしょに行くことにします。
      さびしいひとりぐらしをなぐさめにきてくれてありがとう。
      ちょっとこわかったこともあるけど、楽しかったよ、
      魚のひものを置いていきます。おなかがすいたら食べてください。

      なーんだ、おじいさん、知っていたのか。
      いいおじいさんだったな。
      最初から脅かさないで、遊んでもらえばよかったな。
      ミ−太って言う名前を教えてあげればよかった。
 (ニャァーオとひと声鳴いて走り去る。)